太極拳からの思い出

突然のことだけど、兄が「カンフーハッスル」を借りてきたのでやらなくちゃいけない課題もそっちのけで見ている。

話は飛ぶが、僕の中学校には太極拳の使い手の先生がいた。
佐藤先生は太極拳の使い手だった。避難訓練でも先生は冷静を保ち、なんば走りで逃げていた。

そんな謎の先生は、魅力的な先生であり少なからず恐れられてもいた。
体育祭の練習のとき友人の鈴木くんと川口くんが先生の話を聞かず、おしゃべりしていたら、佐藤先生はカラーコーンで二人を殴りつけたのを記憶している。

ある日のことだった。佐藤先生は技術の先生で木工工作の授業をしていたときのことだった。それぞれが小さな棚をつくるべく、必死にかんなやのこぎりを使って作業に没頭していた。

そんな矢先だった。クラスでお調子ものの増田くんが佐藤先生に滅多打ちに蹴られた。軽くじゃない。滅多打ちだ。理由は増田君がキリで先生に浣腸したのが原因らしい
そのとき先生が言っていた言葉を鮮明に覚えている

「いいか!覚えておけよ!俺はこの学校で2番目に怖い大人だぞ!分かったか!分かったか!」

誰が一番なのだろう。それぞれ口をそろえていった。
野球部のヤツは顧問の植村先生が一番だといって、バスケ部の僕らは顧問の富所先生じゃないかと思った。なんでも僕らの顧問は、クリリンの必殺技の太陽拳を習得している。
あの輝くオデコは今ではさらに強力な武器になっているという。

僕らの3年間では1番怖い大人が誰か分からなかった。
しかしそれぞれどの世界にも超えられない怖い存在はいるものだ。