遊牧民は「ノマド」じゃなくて、「ベンチャー」だと思った話

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2014年くらいから、日本でノマドブームのようなものがはじまった。

いわゆるオフィスを持たず、PCひとつでどこでも仕事をするライフスタイルだ。 スタバでMacBookを広げて仕事するライフスタイルはカッコよくうつっていた。 そんな世の中の流れに違和感を覚えたことも当時思っていた。

ということで、今回、夏休みをいただいてノマド大国モンゴルに行ってきた。

・モンゴルの国民について

日本の約4倍の国土を有するモンゴルには、人口300万人しかいない

日本の人口30分の1の国民に4倍の国土なので、単純計算して1人あたり120倍の土地が ある。

生まれたと同時に国から、0.7ヘクタールの土地(100m×70m)の土地がもらえる。 それだけ土地があるってことである。

この国には、海がなくただただ大地が広がるばかり。 未開拓な市場がある。

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・遊牧民の生活

CEO(遊牧民の主人)は、だいたい平均すると300人くらいの社員(家畜・馬羊牛ヤギなど)と一緒に 昼も夜もいっしょに生活する。社屋は広がる大地、社長室(ゲル)はだいたい2人くらいしか 入れない。

だいたい社長室の横には、CTO(番犬)がいてセキュリティを強化している。

広大な市場(牧草地)を、開拓していく。
社員(家畜)に与えられるKPIは、よりよいアウトプット(乳製品・革製品・肉など)をつくることである。

そのために毎日、朝から晩まで定常業務(草を食べること)にあたる。優秀な社員ほどよい成果をあげる。
CEO(遊牧民)の仕事も過酷である。毎日の社員(家畜)の行動管理をするだけでなく、新製品の開発をする(馬具を自ら作ったり 布を作ったり全部自分で作っている)

会社(ノマド)は、だいたい年に4回オフィス移転(ゲルの移動)をする。
社屋の移動は、外部環境の変化が激しい(気温の変動がきびしい)からである。
冬場は気温がマイナス40度になるので、牧草地は凍土と化す。(9月の現在でも気温は10度を下回っていた)

6年前(2010年)には、リーマンショック(大寒波)がきて、全国で家畜が1000万匹死んでしまったらしい。
全国にいるサラリーマン(家畜)が3500万なので、約30%の社員が厳しい環境で、死んでしまったということだ。

そのため社屋(ゲル)は移動が簡単なもので、約2時間で解体・設置ができる。そして 何より必要以上のものを持たないのが特徴である。

そうした厳しい環境のなか、社員と家族を文字通り食べさせていくのがノマドである。

・遊牧民の技術革新

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常にノマドは、新しいテクノロジーの動向には目を向けている。 太陽光パネルを設置して、自家発電をしながらテレビをみたりしている。 エコにも優しいのがノマドである。

・ノマドのゴール

ノマドのCEO(遊牧民)は、この外部環境をよく見た上で、季節ごとに新しいマーケットへと社員を連れて移動する。 ノマドは、収益をあげて(家畜の数を増やす)いくことが目的である

ノマドあたり1000人(1000匹)の社員を超えると IPOが見えてくる(国から認められ賞が与えらえる)。
しかし、数年前の不況(大寒波)のときに、会社をやめた人も多いらしい。 もちろんバイアウト(財産を売って)都市部に生活するようになった人も多い。 人口の約半分(150万人)が、ノマドをやめてしまった。
年々、ノマドの数は減っているらしい。

 

・ノマドのやりがい

遊牧とは、生きること。

その日暮らしではなく、大いなる自然と向き合い動物たちと一緒に生きること。 人間本来が厳しい自然と向き合った中で、考え抜いた叡智の集合である。 エネルギーやテクノロジーに頼りきった生活をしている私たちよりも何かあった時に 生き残れるのはこういう人々なのではないだろうかと思った。

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だから、日本で言われるような「ノマド」とは、本質的に異なるのだ。
ノマドは、個人経営者じゃなくて社員(家畜)と一緒に生きていくそういう覚悟をもった ベンチャーなんだなぁと思った。

※社員を家畜と例えているのは、別に悪い意味ではなく一緒に生活をする仲間という意味です。 深いな思いをさせてしまったら申し訳ございません。