座間西中バスケットボール部

同窓会があさってある。

バスケ部だったメンバーの飲み会で顧問の富所先生と飲む。
こんなことは8年ぶりくらいで、新鮮なんだろうなぁと思う。

僕のバスケ部当時の写真を見ると子供のままな感じで面白い。
僕らの部は、てきとうそうだったけど強かったと思う。部活というコミュニティーでは辛苦をともにしているため共通のネタが数多く出てくる。

バスケ部では、万騎が原中に練習試合に行ったとき、練習の合間に暇すぎて、後輩の髪の毛をコールドスプレーでカチカチに固めたら、なぜか茶髪になってしまって、髪を切ってあげたりした。
他にもいろいろある。練習試合にマジックザギャザリングというカードゲームをやっていたら、座間中(となりの中学)の顧問にみつかって怒られて、帰宅を命じられた友達もいた。

そんなバスケ部でいまでもネタになる話がある。
あれは、中学2年の夏合宿。
静岡に遠征にいってた。
なぜか、その合宿は大掛かりで西中の男女と東中の女子と南中の男子の大人数が一緒であった。
合宿となると張り切ってしまうのが常である。女子風呂をのぞこうだのそういう類の話はでるが実行にはうつせないチキンぷりだった

合宿初日、後輩のMがエロ本を部屋の隅から見つけた。

「土井先輩!えろ本みつけました!!」

「まじかーー!ちょっとやべぇなー」

にやけながら、歩み寄ると後輩数名が近寄ってきた。

「うわーすげー」

その後輩の性欲に圧倒され、僕はつかみかけた希望を手放してしまった。
後輩は部屋を移し、なにやら合宿でG的な行動にでていたのであろう。

夜は更けていった。
しばらくして、本がぼくの手元に戻ってきた。

「先輩、お返しします・・・」

「そ・・・そうか・・・」

うけとった私も私だが、思春期真っ只中だったので仕方あるまい。
押入れに入り、妄想の世界に浸っていた。

突然、
「お前ら!まだおきているのか!合宿は遊びじゃないんだぞ!分かってんのか!寝ろ
顧問の怒鳴り声が響いた。

僕は押入れの戸をそっとしめ、息を潜めていた。
ざわめきが収まった。先生もドアを閉めた。

気を緩めた私は、空気を一掃しようと押入れから勢いよく飛び出した。
「ひゃっほーーーーい」

エロ本を片手に、まるでノーマークのレイアップを決めるかのように軽やかにとんだ
その時だった!

「まだいたのか!!」

先生は、再びドアを勢いよくあけながら叫んだ。
わたしは手にもったエロ本だけはばれてはまずいと思い、そっと布団のしたへ隠した
しかしそれも先生から丸見えだった。

「土井・・・その布団の下のものはなんだ・・・?だせ」

もはや抵抗の余地はなかった。
エロ本は没収された。

次の日、練習試合には出してもらえなかった。

悲劇はそれだけではなかった。
次の日の全体ミーティング、集まった男女50名くらいのなかで先生が総括をする。

「えー、今日はお疲れ様でした。今日は早く寝て明日にそなえてください。昨日は西中のバカが部屋でこっそりエロ本をみていましたがくれぐれもそういうことをしないように!!」

視線を感じた。先生だけではなかった。
さんざん読み漁ったあと僕に本を手渡した後輩まで鋭い目でぼくを見ていた。
友達も僕をみた。
女子にもさげすんだ目で見られた。

あれから8年、僕も大人になった。
みんな大人になった。
エロ本も読まなくなった。
ちんげも生えた。
あれから8年。
キャプテンはバスケ日本代表になった。
わたしはといえば
バスケはやめた。
たばこもやめた。

同窓会で、先生にはエロ本を返してもらおうと思う