秋葉原

なんだかんだいって今日、メイド喫茶に行った。
なんだかんだいって世界は広いわけであります。

メイドさんの対応が良かったとかそういうことじゃなくて、所謂オタクという人たちとの会話が思慮に富んでいてすごく楽しかった。

http://www.cafe-athome.com/

「@ほぉーむ」というお店で、後から聞くと普通に有名な店らしい。
入ると長蛇の列になっていて、30分待ちだといわれた。待機室みたいなフロアが用意されていてそこに通された。そのフロアでは、いわゆる萌え系のDVDが流れ、同人系の雑誌などが並べられ、シャツをズボンにしっかり入れている中年の人たちがそういう話に興じていた。

私はその空気を最初は嫌悪していた。しかし、よく考えると自分の器の小ささを感じ、情けない気持ちになった。彼らは原宿でエイプのTシャツを着て闊歩しているバカよりよっぽど自分に正直で男らしかった。

喫煙室に入り、マルボロに火をつけた。
目の前の20代後半の男性Aと目があった。一瞬、おっと思った。
喫煙室には、50過ぎのおっさんBも居た。以下3人の会話である

男性Aが、僕の横にやってきて、何をするやと思いきや壁に貼っている”完全メイド宣言”のポスターを眺め
てこうつぶやいた。

A「どの子もかわいいですよねぇ」
明らかに僕に問いかけている。

土井「そうですね。。。」
A「そちらはカタギのものですか??」
土井「んっ?(カタギってなんだ??)」
A「あーいやいや、オタクですかって意味です」
土井「いやぁ僕は初心者です」
A「あーそうでしたか!!僕はあの?オタクなんですよ」

そういう感じに話しかけてくることにびっくりし、これはチャンスと話を展開させてみた。

土井「オタクの方って内向的な感じかと思いましたがそんなことないんですねー」
A「僕は特別なタイプのほうですよ」
土井「ぼく、メイド喫茶とか始めてでよく分からないんですが上級者なんですか??

A「いやぁ僕はまだまだですよ。あちらの方のほうが詳しいでしょうねー」

右隅にいた中年のおっさんを指差した。
中年のおっさんBは、近くにある扇風機をみながら、”これは壊れるなーまずいまずいボルトがやられてるぞ”など、独り言には思えない独り言を言っていた。

そんな彼に、ジダンもびっくりなキラーパスをオタクAは投げた

B「あっ僕ですか・・この道30年のオタクですから」
土井「30年ですか?上級者ですね。秋葉原も30年で変わりましたか」
B「いやぁ、30年常に通っていますからね?あぁーでもオウムがパソコン屋を出していたときは一瞬こなくなりましたけどね・・はっはっは」

どうやら、オウム真理教が一時期、資金稼ぎに秋葉原で商売をしていたころがあったらしい。

土井「そうなんですか?ところでみなさんは何オタクなんですか?」
A「僕は、小説系ですね。」
B「私は、鉄道オタクです。いわゆるテツオタです。テツオタにも種類がありまして路線を覚える系とか模型系とかですね。僕は乗る派です」

(系統が明確に分かれているのかーなんかそんなことが”動物化するポストモダン(中公新書)で出ていたなぁ”)

土井「テツオタっすか!!」
B「そうなんですよ。僕、乗った切符は全部とってあるんですよ。」

といって、切符を見せてきた

B「これは、モー娘のコンサートを大阪に見に行ったときの切符で、これは名古屋にベリー工房を見に行ったときの切符です。 明日また大阪にいくんですよ。日本海周りでーいやぁ8時間掛かるんですよ。たまりませんねー」

すごい勢いだった。

B「でも、路線だったら東海道がたまりませんね。思いませんか??」
土井「はっはい。」

なんか一方的な展開を回避しようと思ってきりかえした

土井「近年のメイド喫茶ブームをどう思いますか??」
A「こういうものを商売にしようとしている魂胆はバレバレですが、暮らしやすくなりましたよ」
B「オタクを軽蔑する風潮がなくなれば何よりです」

たしかにそうだ。僕もココに来て何かが変わってくる感覚を覚えた
彼らは正直に”今”を楽しんでいる。オタクは文化なんだよね。

土井「勉強になりました。今日は思う存分楽しませていただきます」
A&B「いやいやぁ」

そんなこんなで会話は終わった。
メイド喫茶は、風俗とは一線を引く。もちろんメイドのピンサロとかもあるしそういうのもあるらしいけれど、彼ら生粋のオタクは純粋にメイドとの会話を楽しんでる。最高の感動をありがとう。

夏の風がおいしく感じられるようになった。